生物というものを十分理解せずに、物事を一面的に捉え、生き物を殺傷することは悪いこと、自然は自然のままにしておかなくてはいけない、という考え方が、結果的に、国民から、生物に対する興味、自然に対する理解を奪っていることに、どうして気が付かないのでしょうか。

 どうもスリランカ人にはクソマジメなところがあるように思います。最近「セイロンの蝶」という素晴らしい図鑑を刊行したオーストラリアのダブレラが、その著書の中で言っています。
 「スリランカは蝶の採集を解禁したらいい、或いは採集業者を認めたらいい、他のアジアの国々でそうであるように、これは外貨獲得のためのひとつの産業になる可能性がある。特にスリランカで蝶の多い地域は茶畑も進出できず、なんの産業もないところばかりだ、こういうところで暮す貧しい人達には恰好の稼ぎになる筈だ」と。けれども、こんなことをワイルドライフやフォーレスト・オフィスの役人が聞いたらきっと目を剥いて怒ることでしょう。

 スリランカには約250種類の蝶がいます。日本と同じくらいの種類数です。国の大きさを考えると、日本よりずっと多様であると言っていいでしょう。採集は禁止です。但し、眺めたり写真に撮ったりするのは自由です。さあ、豊かな大自然の中へ出かけ、熱帯の島の華麗な蝶を堪能しようではありませんか。

 人間には知的好奇心があります。なんだかはっきりしないものを調べて明らかにしていく喜びです。そういう自由を国が束縛していいものでしょうか。
 
 勿論、採集禁止には一理あります。自然破壊の防止という大義名分です。但し、前に書いたように、採集そのものは自然破壊になりません。

 さて、スリランカです。何故、全面的な採集禁止に踏み切ったのでしょう?スリランカ人の知識層は英国で教育を受けた人が多く、彼らは自然保護や環境保全の重要性を認識していると自負しているでしょう。        。
 今や先進国の殆どで昆虫採集は自由にできません。ネットを持って歩こうものなら必ず白い目で見られます。
自然破壊の張本人であるかのような扱いを受けます。

 実は昆虫採集は自然破壊にはなりません。環境さえそのままであれば、毎年同じ時期に同じ昆虫が同じような数で発生します。人間の手で捕らえられる数などいささかの影響も持ち得ません。
 蝿や蚊やゴキブリと基本的には全く一緒です。但し、蝶の場合、食草や食樹を根こそぎにしたら、即壊滅します。

 おそらく、スリランカの先進的なインテリ層を自認する人達が、ヨーロッパ的な自然保護の思想をそのまま移入したのが、上記の悪法となったものでしょう。宗教的な背景があるとは思いません。何故なら、ここと同様に敬虔な仏教徒の多いタイでも昆虫採集は自由です。

 ヨーロッパや日本のように、蝶の研究が相当レベルまで進んだ地域で採集禁止に移行する場合は問題は小さい。スリランカのように、植民地時代に一通りの蝶相が調べられ、さあこれから詳細な研究を始めようという時に全面禁止にされたら、何も分からないままになってしまうではありませんか。

ダブレラ著 「セイロンの蝶」
 アジアの蝶の研究はここ20-25年の間に急速に進みました。何故でしょう?これは日本人の海外進出と時期を同じにしています。

最近のアジアの蝶の新種発見や生活史解明は殆どが日本人によるものです。ドイツ人も熱心ですが、地の利を生かし強い円を持った日本人にはかないません。

その1 イントロダクション

 いつ誰が決めたのか分かりませんが、スリランカは、私の知る限り、世界で唯一、昆虫採集を全面的に法律で禁止している国です。少なくても今から25年前には、日本の専門誌にスリランカへの昆虫採集ツアーの広告が載っていましたから、法律が施行されたのはそれ以降のことでしょう。

 日本のように、特定の地域或いは特定の種類について採集禁止にしている国は他にもありますが、全国一律というのは聞いたことがない。その結果、スリランカの蝶の研究はここ20年ほど完全にストップしてしまいました。

 オランダが統治していた18世紀にスリランカの蝶の研究が始まります。著名な採集家がスリランカを訪れ、数々の業績を残しました。19世紀から20世紀の中頃には立派な本が幾つも編纂され、探検家のウッドハウスが伝説的な名著「The Butterfly Fauna of Ceylon」を出版し、スリランカの蝶の研究は黄金期を迎えます。これが1940年のことです。

 そして世界大戦、やがて独立。それを境に蝶の研究は衰退を始め、先生がいないと生徒も育たず、今では殆ど誰も興味を持たず、さらに悪いことに上記の法律が外国人による研究を締め出す結果となり、スリランカは今や世界でも最も研究の遅れた国になってしまった訳です。

伝説的な名著「The Butterfly Fauna of Ceylon
ここでは皆さんにスリランカの蝶についてご案内します。ご案内するのは、この道40年の偏屈中年、サマナレヤ教授であります。

その独断と偏見に満ち他の追随を許さない高説の数々は、斯界においても極めて高い評価を得ているところであり、豊富な知識と経験に裏付けられた「スリランカ蝶バカ日誌」をひもとけば、あなたも蝶の専門家????
Reported by Mr.N.A
    サマナレヤとはシンハラ語で蝶という意味だそうです。
2001年5月16日更新

トップページ 見聞録 自己紹介
日本人 怪しい探検隊 言いたいボード
掲示板 スリランカン 職場紹介
シーギリア美女 蝶バカ日誌 Hot News
関連リンク
フレーム
直線上に配置
直線上に配置
直線上に配置
蝶バカ日誌